【熊本・河内町で創業1971年】変化を恐れず「美味しさ」を追求し続ける島村豆腐店の挑戦
公開日:2026年5月12日
熊本市西区、有明海を望む河内町(かわちまち)。この地で50年以上にわたり、地元の方々に愛され続けているお豆腐屋さんがあります。
今回お話を伺ったのは、島村豆腐店の店主・島村清貴さん。
看板商品の「ピーナッツ豆腐」が誕生した背景や、伝統を守るだけではない、島村さん流の「ものづくり」の哲学をたっぷり語っていただきました。
◆島村豆腐店の創業は、島村さんのお母様。
もともと母の実家が豆腐屋を営んでおり、母が父と結婚を機にこの河内町で豆腐店を構えました。
豆腐店をはじめるきっかけは子育てしながらできる仕事だったからだそうです。
「自分は二十歳から手伝い始めたんですが、当時はまだ祖母がリヤカーを引いて売り歩いていたのを覚えています。まさに豆腐が生活の真ん中にあった時代ですね。」
そんな歴史あるお店を引き継いだ島村さんですが、意外にも「昔の味を守り抜く」という頑固なスタイルではないと言います。
「こだわりがないのが、こだわり」——お客さんの声で進化した味
島村さんの作るお豆腐やピーナッツ豆腐は、時代とともに少しずつ変化しています。
「昔は木綿の硬い豆腐が主流でした。でも、だんだんと若い奥さんたちから『柔らかい方が好き』という声が聞こえてくる。
だったら、そっちに合わせてみようか、と。タレの味も、甘い、辛い、とお客さんに揉まれながら今の味にたどり着いたんです。」
「俺の味を食ってみろ!」ではなく、「みんなが美味しいと言ってくれる味」を。
その柔軟な姿勢が、島村豆腐店が長く愛される一番の理由かもしれません。
◆よかもーるでも大人気の「ピーナッツ豆腐」の秘密
実は、この地域では昔から法事や集まりの際に出される「精進料理」の一品として親しまれてきた文化がありました。
島村豆腐店のピーナッツ豆腐の原材料は、驚くほどシンプルです。
- ピーナッツ
- でんぷん
- にがり
「保存料や甘味料を入れれば日持ちはするけれど、どうしても味が変わってしまう。うちは賞味期限が少し短くても、素材本来の味を大切にしたいんです。」
濃厚でいて、口の中でとろけるような優しい食感。それは、余計なものを一切入れないという、島村さんの静かなこだわりの結晶です。
◆サッカー指導で学んだ「適材適所」の哲学
島村さんにはもう一つの顔があります。
それは、長年続けていた「サッカーの指導者」としての顔。
指導していた女子チームは九州大会でしのぎを削り続けていた地元のクラブチームです。
「指導で一番大事にしていたのは、スパルタではなく『本人のやる気を出させること』。
足が速いならその武器を活かす。本人のやりたいことを活かす。
仕事も同じで、適材適所でみんなが気持ちよく働けるのが一番だと思っています。」
この「相手を尊重する」という考え方は、お豆腐作りだけでなく、対面販売でお客さんの声を丁寧に拾い上げる姿勢にも通じています。
◆次の世代へ。変わらないために、変わり続ける
現在、33歳になる息子の崚司さんもお店に入り、事業継承への準備が進んでいます。
「伝統を背負わせすぎるつもりはありません。豆腐という武器を活かしつつ、今の時代に合った新しい商売を広げていってくれたら。」
インタビューの最後、全国の皆さんにメッセージをお願いすると、島村さんは照れくさそうにこう答えてくれました。
「ぜひ一度食べてみて、感想を聞かせてほしいですね。遠くの場所で、この味がどう感じられるのか。それが一番の楽しみです。」
◆編集後記
取材中、試行錯誤で完成した商品「寄せ豆腐」を試食させていただき、その濃厚さには驚きました。
島村さんの話の根底には「お客様に喜んでもらいたい。そのためなら変化を恐れない」という姿勢を強く感じました。
私が「社長の考えには柔軟性があって、どんどんチャンレンジして凄いですね」と伝えると、
本人は、「いや俺は、石橋を叩いて、石橋を叩いて、納得してからじゃないと、一歩踏み出さないタイプなのよ」と意外な返答をもらいました。
大胆さと繊細さ。その両面をバランスよくもった経営者なのだなと思いました。
少しの時間でしたが、息子の崚司さんともお話させていただき、柔軟な対応とチャレンジ精神は父、清貴さんの精神を確かに受け継がれていると感じました!
みなさんもピーナッツ豆腐を食べてみてください。美味しくてあっという間に食べてしまいますよ!
河内の風土と島村さんの哲学が詰まったピーナッツ豆腐、ぜひ皆さんの食卓で味わってみてください!
